【こたえ】
1【解説】
ここからはコースデザインを時間順に考える問題です。コースデザインを大まかに考えると、まず学習者のことを調べ、それに基づいて何を教えるかを決め、最後にいつ何をすするか時間順に落とし込んでいきます。
コースデザインをして授業が計画通りに行けば終わり、というだけではなく、そのあとでコース全体の評価もするのが理想です。遠足はうちに帰るまでが遠足です、と似たような理屈です。
では最初はニーズ調査と分析、つまり学習者は何を学びたいのか調べて考えるというものです。でも自分が日本語教育研究所みたいなのを持っていて、どこかの会社からウチの社員30人の日本語教育を頼む、などと探偵事務所への依頼がある場合ならともかく、普通は機関に勤めれば、たとえば初級3コマを任され、教科書はもう決まっている、というケースがほとんどです。つまりコースデザインは、新規コースの責任者以外には直接には関わりない場合が少なくありません。
では順に見ていきます。この手の問題で「~の必要はない」と書いてあるものはたいてい不正解です。ことばの教育は多様な事項が複雑につながった複合体であり、教師と学習者の対話から織り成されるものですから、何かが不要である、と言い切ることはまずできないのです。テクニックっぽいけど覚えておきましょう(実際もそうですし)。
まず1ですが、アンケートは紙じゃなければいけない、ということはありません。メールでもSNSでも聞けるし、口頭でもかまいません。常識で排除できます。
2が正解で、さっきの探偵事務所っぽい依頼の場合、その会社でどんな日本語が用いられるのか、学習者はどんな日本人とどんな日本語を使うのか、といったことはまだ未修の外国人にはわかりませんから、その周辺の学習者に聞く必要が出てきます。
3-4は「必要ない」の文備なので排除できるんですが、いちおう一つずつ。まず入門レベルには調査不要とありますが、入門レベルこそ調査が必要であることお分かりだと思います。調査はコース前で終わればいいのですが、外国語学習はこれで終わり、ということはありません。コース中に新たな二-ズが生じる場合もありますし(マンツーマンでなければそんなに即時の対応は出来ませんが)、コース終了時にも最初のニーズは満たされたか、今何が足りないと思うかなど、調べることは少なくありません。
【解説】
『日本語教育のスタートライン』pp. 424-426