【こたえ】
1【解説】
パターン・プラクティスの種類を問う問題です。
問題だけ見れば日本語クイズ系で、応答、つまり質問と答えを練習するものですから、正答の1はさほど苦労せずに見つけることができます。
ただし、覚えておくべきことは、オーディオ・リンガル・メソッドの場合、応答練習といっても、何を答えるべきかという「答の内容」もすべて教師が決めていることです。選択肢の中で教師は「毎日テレビを見ますか」という質問の後に「はい」という合図(キュー)を出しています。学習者はこのキューに従って「はい、見ます」と答えることになり、この人がネット中心でテレビは見ない生活であっても、こう答えなければならないことになります。
正しい文を言う習慣づけは大事かもしれませんが、実生活の習慣と反して、単に文法的に正しいって言うのはどうなの、という批判が広まるとALMは修正を余儀なくされました。
2はキューが「映画」であり、これに応じて学習者は「テレビ」を「映画」に変えて言うように指示されています。ある単語を前の単語の代わりに入れて言うので、この練習を「代入練習 (substitution drill)」と呼びます。
3は単に後について繰り返す練習 (repetition of patterns)です。
4は、先生が言ったことを否定の形にして言っています。文の形を変えるので、「変形練習 (transformation drill)」です。
パターン・プラクティスが日本に初めて紹介されたのは、わたしが生まれた1961(昭和36)年です。その2年前にALMの創始者Fries(フリーズ)が書いた The Structure of English を山家保が『英語の構造』という題で大修館から出したのが最初です。
コミュニカティブ・アプローチがそれなりに認識されたのは1980年代ですから、相当の間、ALMは英語教育に君臨し、その波をジョーダンの教科書 Japanese: the Spoken Language などを通じて、黎明期の日本語教育はかぶったと考えてよさそうです。
【解説】
『日本語教育のスタートライン』pp. 409-410
ドリルのほかの種類について知りたい場合は
『日本語教育のミカタ』 pp. 125-127