2020/01/21

040)平成30年度 試験I  問題3-D(17)日本語の歴史

【こたえ】
 1

【解説】
 日本語の動詞活用をグループ1、2、3だけで考えていると、こういう日本語史の問題は解くことができません。やはり国文法の知識を持って、それと日本語教育文法を比較・対照させながら考えていくほうが、理解も深まるでしょう。

 出題は「二段動詞が一段化」したものですから、現代日本語の一段動詞(2グループ)意外は排除することができます。すると選択肢3・4の「折る」は五段動詞(1グループ)だから、これは正解にはなりません。

 ここからが知識の問題になります。
 こうなったら、徹底して基礎からやりましょう。まずは「五段」とか「一段」の「」とは何かですが、これは五十音図の横の列のことです。縦の列は「」と言います。アの段なら「あかさたな…」、ウの段なら「うくすつぬ…」のことです。

 では五段動詞とは何かですが、活用の最初の音に、ア・イ・ウ・エ・オの音のすべてが入る動詞のことです。「読む」であれば「よない・よ(ます)・よ・よば・よう」と、マ行における5つの段の音がすべて入っていますね。

 ということは、一段動詞の場合、活用の最初の音が1つしか入っていないことになります。「生きる」でれば「いない・い(ます)・いる・いれば・いよう」で、どの活用もキの音で始まります。これを一段動詞の中で特に「上(かみ)一段動詞」と言うのは、五つの段のウ段を真ん中としたときに、「キ」のようなイ段は上に書かれるからです。ということは、同じく一段動詞の「食べる」は「たない・た(ます)・たる・たれば・たよう」で、どの活用もベの音、つまりエ段の音であり、エ段はウ段よりも縦書きでは下に書かれるので「下(しも)一段動詞」と呼ばれるわけです。

 では二段動詞とは何かと言うと、古語で活用語尾の最初の音が2つある動詞、ということになります。この2つが1つになって現代の一段動詞になったので、二段動詞は一段動詞の先祖と言えるでしょう。

 選択肢1・2の「食ぶ・食ぶる」がそのペアなのですが、この活用は古文の教科書などを見る必要があります。現代語は辞書形(終止形)が「食べる」、連体形、つまり名詞を説明するときも「食べる時間」のように「食べる」で同じですが、昔はこれが別々でした。活用を書くと「たず・たつ・た・たる(こと)・たれば・たよ」で、「ぶ・べ」2種類の音で始まるから二段動詞ですね。厳密には「下二段動詞」です。
 ということは「上二段動詞」もあって、たとえば現代語では「落ちる」である「落つ」、「飽きる」の「飽く」がその例です。

 この終止形と連体形がどちらかに一本化して、さらに今の形になったわけですが、選択肢2つをことばの変化という観点からじーっと見て、2の「食ぶる→食ぶ→食べる」の変化と、1の「食ぶ→食ぶる→食べる」の変化と、どっちがありそうでしょうか? 
 そう、後者ですね。
 前者だと音が一音減って、また増えるというのはなさそうです。知識問題ではありますが、勉強しなかった場合には最後の手段は言語的な推論しかないでしょう(もちろん、それを薦めているわけではありませんが)。

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