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【解説】
アクセントは何のためにあるのですか、機能を問う問題です。
(ア)の前には「語の意味を区別する」とあります。こちらは例えば同じ「いし」という音でも「意志・石」でアクセントが違えば語の違いが区別できる、ということで「弁別」の機能です。
弁別というのは聞き慣れない語ですが、心理学の用語で「わかった上ではっきりと区別する」という意味です。音声の違いによって意味の違いをわける、というのは頭でする操作ですから、ただの「区別」ではなく「識別」に近いこちらを使います。
(イ)の前には「文の構造の違いを示す」とあります。たとえば「テレビ電話を使った授業」という語句の場合、テレビ・電話それぞれを1語として発音すると「テレビと電話を使った授業」になりますし、「テレビ電話」を2拍目の「れ」で上げ、「で」のところで下げる中高型の1語として発音すると、「テレビ電話という機械を使った授業」となります。
これを「統語機能」と言います。意味は「どこまでがひとかたまりなのかを伝える機能」ということです。
残った2つですが、概念としては明確なものはない、と考えてよいです。
指示機能、というのはー以下、敢えて言えば、ですがー、アクセントによってその言語の使用者の言語使用域が指示できる、と言ったものが、まあそれに相当するでしょう。社会言語学では「変種の区別化」と言いますが、たとえば「ドラマ」「クラブ」といった外来語を平板型で使うと、その言い方をする人はその語を使い慣れているな、といった印象を与えることができます。
認知機能というのは頭を使った知的な働きの全部です。ですから弁別機能も統語機能も言ってみれば全部が「認知機能」となります。全部なので、こういう言い方は学術的に「しない」と考えてください。
【参考】
『日本語教育のスタートライン』pp. 200-203