【こたえ】
1【解説】
シラバスの種類と特徴を区別できているか問う設問です。
言うまでもなくシラバスとは「何を教えるか/学ぶか」を詳述したもので、検定的にはまずざっくりと
・文型シラバス(構造シラバス)
・それ以外の仲間(非構造シラバス)
に二分しておくと良いでしょう。
文型シラバスはたとえば「AはBです」のような名詞述語文を「AはBですか」「AはBですか、それともCですか」のように複雑にしていくように、文の構造を易→難に並べたもので、有名な教科書『みんなの日本語 初級』はこれを採用しています。文型を易→難にしたということは、教え方の配列(カリキュラム)もシラバスに含むようになっています。多くの伝統的な外国語教育で採用されており、だんだん難しくなっていくので、初めて教える人でも教えやすいところが特徴です。学習者にとっても文型という記憶の足がかりがあるので学びやすい側面があります。
それ以外の仲間は非構造シラバス、つまり文型のような関連性は持たず、別の観点からシラバスをまとめあげています。
・どこでそのことばを使うか=場面シラバス
=駅、学校、パーティ、職場などの場面で使いそうなことばや文を学ぶシラバス
・何のためにそのことばを使うか=機能シラバス
=誘う、断る、文句を言う、説明するなどことばの役割に目をつけてまとめたシラバス
ざっくり書くと、上の2つを足したものを概念・機能シラバスといいます。最初の提唱はウィルキンズ1976です。TESOL(英語教育)では古文の枕草子並みにポピュラーですが日本語教師で実際に読んでる人は少ない模様(個人の印象です)。読みやすいですがシラバスだけざっくり読みたい人はコチラの最後の4ページをどうぞ。学部生の簡単なレポートくらいは書けそうですね。
他にも非構造シラバスとしては話題シラバスや課題シラバスがありますが、これらは実際のタスクやアクティビティと線引きがしにくいので、まずは上の4つをしっかり理解するのが良いと思います。
【解説】
『日本語教育のスタートライン』pp. 426-427