2020/01/16

025)平成30年度 試験I  問題3-A(2)超分節的特徴

【こたえ】
 1

【解説】
 設問の「超分節的特徴」がわからないと手も足も出ません。基本からじっくり勉強していきましょう。

 人間の音声の特徴は
・分析的特徴
・超分節的特徴(または韻律的特徴)
 に分けられます。

 分節というのは(文法にも同じ音の「文節」があるので混同しないでくださいね)、言語音を音節にわけることです。うんと簡単に言えば「雨です」と聞いた音を「あ・め・で・す」の4つに分けて考えれば、それは「分節した」ことになります。
 ということは、分節的な特徴とは、単音ごとの特徴ということになります。たとえば、
日本語の「ザ」の音は「ジャ」の音とは違うという区別がそれです。韓国人の日本語学習者の中には、この2つの音をじょうずに区別して言えない人がいます。この場合は音声の指導と言っても、文節レベルでの指導が必要になるわけです。

 では後者の超分節的特徴というのは、分節された音ではなく、連続して話される音について、それがどんな感じの音なのか、という特徴です。
 試みに「あめ」という連続した音を以下のように変えて、実際に言ってみましょう。
・「雨」のように頭高型で発音する(アクセント)
・「飴」のように平板型で発音する(アクセント)
・「あ...め」と、二つの音の間をちょっと区切る(ポーズ)
・オペラのように♪あ~~~め~~~と高らかに吟唱する(抑揚)
 このように特定の音でもそれに飾りをつければいろいろな言い方になるし、極端には歌にもなります。そうする上でのさまざまな特徴が、超分節的特徴です。
 
 ですからイントネーション、リズム、ポーズはそれぞれこの特徴に入ります。で、正解は1のフォルマントなんですが、これは何でしょうか?
 フォルマントというのは音響学の用語で、
・声を響かせるための体内空間の音の値
 です。まだ何のことかわからないですね。お風呂で歌うと声が響くように、人間の出す声も体の中の空間(これがお風呂に当たる部分)で響かせると、聞こえる大きな音になります。具体的には口の中(口腔)、鼻の穴の中(鼻腔)、喉のあたり(咽頭腔)です。で、一般に高い音をより響かせるには狭い空間が、低い音をより響かせるには広い空間が必要です(実験をしたい良い子は、500mlのペットボトルに7割くらい水を入れて、ボトルの口から中に息を吹き込んで出る音と、空のボトルの口に同じようにして出る音を比べるとわかります。後者の方が低い音が出ます)。
 この「響き」を知るためにはスペクトグラムというカッコいい名前(偏見)の機械を使う必要があります。要は、フォルマントというのは教室内で超分節的特徴の指導をするための道具立てではない、ということがわかればいいです(それにしては話が長くなってすみません)。

 ちなみに選択肢以外の超分節的特徴の要素としては、アクセント、無声化(「です」をdesというようなもの)などがあります。
 

【参考】
日本語教育のスタートライン』pp. 200

065)平成30年度 試験I  問題8 問5 ソーシャルサポート 【こたえ】 4 【解説】  ソーシャルサポート (social support, 社会的支援)とは心理学のことばで、 いろいろ困った人に周りの人が支援すること です。それさえわかれば、正解に近づくこ...