2020/01/27

048)平成30年度 試験I  問題5 問3 テストの妥当性

【こたえ】


【解説】
 頻出問題というべきものです(ちょっと予備校っぽい出だし)。
 テストにおけるこの「何ちゃら性」というのは、テストそのものの評価、つまり
ーこのテスト、ちゃんとしてるの?
 を図る指標のことです。たくさんあるんですが、ここで問われている「妥当性」と「信頼性」が出題の2大巨頭(大げさ)で、「客観性(別の人が採点しても同じ結果になるかどうか)」がそれに続きます。それぞれ解説していきます。

 妥当性というのは、図ろうとしていることが、そのテストで本当にちゃんと図れてるかどうか、を見る指標です。例えば、熱があるかどうかを調べるときに、体温計という道具は「妥当な」道具ですね。でも気温を図るときに体温計は妥当な道具とは言えません。これが妥当性の意味です。

 もう少しお勉強。これはさらに3つに分かれます。

<その1>内容的妥当性・・・質問の内容がちゃんと図るべきことを含んでいるかどうか。これはまあ分かりますね。妥当性の代表選手といってもいいでしょう。

<その2>基準連関的妥当性・・・これは、あるテストが、それと関係あるほかのテストと内容的に相関している(たとえばこのテストで高得点を取ったら関連する別のテストでも同じように高得点が取れる、といったこと)

<その3>因子的妥当性(または構成概念的妥当性)・・・これはちょっと難しいです。まず因子とは「原因を構成するそれぞれの理由」とでも覚えてください(100パーセント正確ではありませんが、当座は大丈夫です)。
 たとえば誰かのリーダーシップを測定する試験があった場合、リーダーと呼べる人であるには知性、明るさ、積極性、話の説得力などが必要と思われますが、これらがすべて組み合わさったテストなら、たとえば積極的かどうかだけを調べる試験よりもリーダーシップがちゃんと図れそうですね? こういうテストかどうかを見る指標が因子的妥当性です。(積極性だけでリーダーシップを図ったら、やたらうるさいだけの奴がリーダーになってしまい、ほかのメンバーは辛いことでしょう...)

 次は信頼性です。これは同じ条件で同じテストをしたときに結果が安定しているかどうかをみる指標です。同じ個人に同じ条件で同じ問題をさせて同じ結果が出れば安定性のある試験、同じ個人に同じ条件で似たような問題をさせても似たような結果が出れば、それは等質性のある試験といえます。

 以上を踏まえて問題を見ましょう。1は指示が不明確なので答えようがなく、結果は不安定になりますから信頼性がないテスト、3も結果にバラツキが出そうなことは分かりますね。4はテストそのものではなく、環境に問題があります。答は2です。習ってない漢字が出ているという内容的妥当性に問題があるからです。

【解説】
 『日本語教育のスタートライン』pp.447-450


 

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