2020/01/21

038)平成30年度 試験I  問題3-C(15)命題(とムード)

【こたえ】
 3

【解説】
 この問題のキーワードは「命題」です。
 人が話すことばの中身(発話内容)には、その物事の客観的な内容と、その内容に関して話し手がどう考えているかという部分に分かれます。

ー明日地球が滅びるなんてありえない。
 という文であれば、「明日、地球が滅びること」が客観的な内容、「(そんなことは)ありえない」というのが話者の考え、判断といったものですね。前者を命題、後者をムードと言います。

 これを踏まえて問題をみると、文の命題は「私に妹がいること」であって、これは解釈に迷うことはないので、「解釈できないため」と書いてある選択肢の1と4は排除できます。次に「先生、私には妹がいます。」という文は文法的な曖昧さ(=統語的曖昧性)もないので、2も排除できます。

 正解は3、つまり唐突にそんなことを言われて、文の内容はわかるが、なぜいきなりそんなことを言い出すのだろう、と先生は考えることになる、という示唆が示されているという選択肢です。

 以上で問題3-Cを終わります。

 さて以下、無用のことながら(司馬遼太郎かよ)。
 上で書いたムードは「モダリティ」ではないのですか、という質問をしばしば受けます。検定的にはモダリティでもかまいませんし、むしろそちらのほうが通りがいいかもしれません。モダリティは、ただし、感覚を得るための視覚や聴覚などの五感をさしますので、そちらも勉強する場合には区別する必要があります。
 それに言語学に絞っても、両者の違いはいまだ結論が出ていません(Khomutova 2014 など)。個人的には日本語学会などで早く「言表態度」と言う語が採用されてほしいと思います。

【参考】
日本語教育のスタートライン』 p. 151


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