2020/01/24

045)平成30年度 試験I  問題4 問4 言い直しを求めるフィードバック

【こたえ】
2

【解説】
 問題文内の「フィードバック」とは、外国語教育の現場で最も見聞きする専門用語です。意味は、学習者のアウトプット(言ったり書いたりしたこと)について、教員側からどこが良かったか、あるいはどこに向上の余地があるかなど、気づきや振り返りを与えるための働きかけ全般を意味します。

 で、問題ですが「言い直しを求める」をなーんとなく言い換えると正解に行き着きますね。答えは2の明確化要求です。
 これは訂正を求めるフィードバックなんですが、これのほかの種類を挙げておきましょう。学術的に妥当と思われるのは Lynster & Ranta (1997) です。このサイトは親切なので、読むのが面倒くさい方のために、以下に概要をあげておきます。

1. リキャスト (recast)・・・先生が誤用を正しく言いなおして聞かせること。指導の基本ですね。
2. 明示的訂正 (explicit correction)・・・先生が誤用に対して、ここが間違っているよ、と指摘すること。これも基本ですね。
3. 明確化要求 (classification request)・・・上でやったやつです。誤用に対して「え、それはどういう意味ですか?」などと聞くケースです。
4. 繰り返し (repetition)・・・学習者の誤用を先生がそのまま繰り返すもの。絵、そうなの?というニュアンスをこめて上昇型イントネーションで言う場合が多いです。
5. 引き出し (elicitation)・・・先生が間違いの途中まで言って、残りを学習者にがんばって言ってもらうものです。
6. メタ言語的フィードバック (metalinguistic feedback)・・・1や2と違って、先生は間違いがあることを明らかにせず、情報や質問をすることで、学習者が誤用をしたこと、正しいものは何かなどを気づかせる、というものです。

 これらのフィードバックは「検定的知識」として知って問題を解くだけでは無味乾燥でぜんぜん面白くありません。やはり授業で実践して、そちらの技量も上げていくのが理想だと思います。





【参考】
日本語教育のスタートライン』 p. 458

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