2020/01/24

044)平成30年度 試験I  問題4 問3 ストラテジー

【こたえ】


【解説】
 ストラテジーは英和辞典では「戦略」などと勇ましい語が出ていますが、コミュニケーション上でのストラテジーとは、前の問題で述べたとおり、話を通じさせるためにあれこれとする「工夫」のことです。
 あとはストラテジーの種類を覚えるしかないのですが、日本語クイズ的にやってみると、3の「葛藤」と4の「躊躇」は単に困っている状態で、工夫しているとは言えないですね。「絶望」や「苦悩」が工夫でないのと同じです。それらから逃れるために何とかするのが「工夫」ですから。

 で、候補が2つ残りました。省略は一部を省くことですが、問題文ではある形式を「使わない」なので、2が正解となります。

 追加のお勉強をしておきましょう。問2で紹介したブラウンは誤用が生じる可能性があるストラテジーを、さらに以下のように分類しています。

回避 (avoidance) ・・・上でやったものです。

丸暗記 (prefabricated patterns)・・・意味は良くわからないが使うもの。旅行者の英会話手帳などでは現地で何かあったら「斉藤寝具(→ sightseeing)」と言いましょう、などとありますがこれがその典型です。

個別のありよう (cognitive and persona style)・・・誤用は人それぞれの個性によっても起きるというものです。たとえば過ちを恐れない人はどんどん目標言語を使いますが、必然的に誤用も多くなるわけです。

ネイティブへの質問 (appeal to authority)・・・何かわからないことがあったらその言語のネイティブスピーカー(権威者、つまり authority)に質問するというものです。

言語チェンジ (language switch)・・・どうしてもわからなくなった場合に、相手が理解するかどうか関係なく、自分の母語でしゃべるというもの。もう誤用がどうとか以前の工夫ですが、やぶれかぶれとも言えますね。

【参考】
日本語教育のスタートライン』 p. 360

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