2020/01/10

009)平成30年度 試験I  問題1(6)転訛形

【こたえ】
 2

【解説】
 転訛という語は日常ではまず見聞きすることはないですね。定義ですが、
・同じだと認められる語句が、異なる音形で現れるもの
 のことです。典型的な例は「食べてしまった」が「食べちゃった」になるようなものです。研究による分類も進んでおり、もはや転訛形のほうが標準と思われるもの(たとえば
「食べるんだ」←元は「食べるのだ」)や、転訛形になってもフォーマルさが落ちないもの(たとえば「食べてる」←元は「食べている」)などがあります。

 1の「やめとく」ですが、元の形は「やめておく」。つまり動詞の複合において転訛が生じています。
 3の「何してんの?」は「何しているの?」で、同様に「して+いる」の複合における転訛です。文型シラバスでは「テ形+いる」の方が通りが良いですね。
 4の「もう帰らなきゃ」は「もう帰らなければならない」で、ちょっと複雑ですが、動詞「帰る」がナイ形になってイ形容詞と同じ活用の振る舞いをし(例 安くなければ)、それに動詞「なる」が複合しているので、理屈は上の2つと同じです。
 5の「やっちゃいなよ」は何だかタランティーノの Kill Bill みたいですが(別にわざわざ見る必要はありません。長いし)、「やってしまいなよ」、つまり「やる」「しまう」の動詞の複合に関わります。

 で、正答の2ですが、これだけが動詞の複合による転訛ではありません。これは促音を入れて強調する転訛で、言語学では音転訛あるいは音声転訛形といいます。例としては「とっても」(とても)、「やっぱり」(やはり)などがあります。

 一般に転訛形は音が減少してフォーマルさも減少するのですが、音転訛のときは上記の例や「だめって言った」(だめ言った)のように、長音節化してわずかに音数も増加するものもあり、興味深い現象です。


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