2020/01/16

024)平成30年度 試験I  問題3‐A(1)

【こたえ】
 2

【解説】
 アクセントは何のためにあるのですか、機能を問う問題です。

 (ア)の前には「語の意味を区別する」とあります。こちらは例えば同じ「いし」という音でも「意志・石」でアクセントが違えば語の違いが区別できる、ということで「弁別」の機能です。
 弁別というのは聞き慣れない語ですが、心理学の用語で「わかった上ではっきりと区別する」という意味です。音声の違いによって意味の違いをわける、というのは頭でする操作ですから、ただの「区別」ではなく「識別」に近いこちらを使います。

 (イ)の前には「文の構造の違いを示す」とあります。たとえば「テレビ電話を使った授業」という語句の場合、テレビ・電話それぞれを1語として発音すると「テレビと電話を使った授業」になりますし、「テレビ電話」を2拍目の「れ」で上げ、「で」のところで下げる中高型の1語として発音すると、「テレビ電話という機械を使った授業」となります。
これを「統語機能」と言います。意味は「どこまでがひとかたまりなのかを伝える機能」ということです。

 残った2つですが、概念としては明確なものはない、と考えてよいです。
 指示機能、というのはー以下、敢えて言えば、ですがー、アクセントによってその言語の使用者の言語使用域が指示できる、と言ったものが、まあそれに相当するでしょう。社会言語学では「変種の区別化」と言いますが、たとえば「ドラマ」「クラブ」といった外来語を平板型で使うと、その言い方をする人はその語を使い慣れているな、といった印象を与えることができます。
 認知機能というのは頭を使った知的な働きの全部です。ですから弁別機能も統語機能も言ってみれば全部が「認知機能」となります。全部なので、こういう言い方は学術的に「しない」と考えてください。

【参考】
日本語教育のスタートライン』pp. 200-203

2020/01/15

023)平成30年度 試験I  問題2(5)行く前

【こたえ】
 2

【解説】
 この問題文は、どのような誤用なのでしょうか?
 さっと読み飛ばすとわからないのですが、「買い物に行く前に」と格助詞の「に」をつける必要があります。
 どうして必要なのかというと、「買い物に行く前」なら、行く前の時間のすべてが入ることになります。たとえば「買い物に行く前、私はその店が水曜定休であると知らなかった。」のような文ならOKですね。
 ところが問題文では、後件が、「洗濯を終わらせる」という用事(できごとやイベント)を述べているので、イベントの常として、「それをいつ行なうか」を決めなくてはならないのです。するとたとえば「月曜日」「5時半」といった、時を定める格助詞「に」が必要になるわけです。

 この考え方でいくと、1は「私の両親に会う」3は「薬を飲む」、4は「結論を出す」という用事がそれぞれ後件なので、これらにも「に」が必要です。
 ところが2の「おとなしくしている」は用事ではなく、そうあるという状態なので、この場合は「前」というより「まで(は)」の方が適切になるので、上の3つとは異なる誤用になります。

 副詞に格助詞「に」がつくかつかないかで意味が変わってくる例としては「まで・までに」「いま・いまに」があります。それぞれ以下の(1)~(4)で確認してください。
(1)5時まで、この教室にいてください。(今から5時までずっと)
(2)5時までに、この教室を出てください。(今から5時までのある時の一点において)
(3)いま、龍馬くんは剣術の修行中です。(今現在のこと)
(4)いまに、龍馬くんは日本を動かす人になるだろう。(未来のこと)

 以上で問題2の解説を終わります。
 おつかれさまでした。ご愛読ありがとうございます☆


【参考】
日本語教育のスタートライン』pp. 108
022)平成30年度 試験I  問題2(4)たいてい

【こたえ】
 3

【解説】
 一見すると難しいのですが、実は形式から解くことができます。
 問題文の「たいてい」の後には「8割」という名詞が来ています。個々に目をつけると、
選択肢の1も「1時間」という名詞、2も「全員」という名詞、4も「何グラム」という名詞ですが、3のみは「忘れてしまう」という動詞が来ています。深く考えずに正解を出すことができますが、もう少し詰めていきましょう。
 
 問題文の「たいてい8割くらい残す」は「たいてい」を何と間違ったのかということです。「たいてい」は"一定の時の中でそのことを頻度がかなり大きい"ということです。
 しかし8割というのは頻度ではなく、数量の割合ですから、音的に似たものと間違えたという仮定で「だいたい」が浮かびます。だいたい8割・だいたい1時間・だいたい何グラム、であれば、それぞれ意味が通ります。

 では正解の3はどのような誤用なのでしょうか。
 これは頻度を示す副詞の「たいてい」「よく」を両方使ってしまった誤用です。大まかに言うと「たいてい」は普通そうする (usually) に相当し、「よく」は、しばしばそうすることがある (often) に相当します。つまり「よく」は「たいてい」より頻度が落ちるわけです。

 主な頻度副詞の頻度順は、以下のとおりです。確認しておきましょう。
1. いつも・つねに
2. たいてい・ふつう
3. よく・しばしば
4. ときどき・ときおり
5. たまに
6. あまり~ない
7. めったに~ない
8. ぜんぜん~ない

【参考】
日本語教育のスタートライン』pp. 103-104
021)平成30年度 試験I  問題2(3)という匂い

【こたえ】
 1

【解説】
 形式から解くことができる「日本語クイズ」ものです。
 「AというB」の「という」は英語の so called, つまり「~と呼ばれる」の意味で、Aには名詞または名詞相当句が入ります。名詞であればたとえば「雷(A)という現象(B)」ですね。

 名詞相当句というのは1語じゃなくても全体として名詞と考えられるもので、たとえば「犬も歩けば棒に当たる(A)ということわざ(B)」がそれです。
 あるいは人の発言をカッコでくくって引用する場合も、それ全体で1つの発言、1つの名詞として考えられるのでこれもOKです。「『荒川が逃げたぞ!』という声が聞こえた。」などがそれです。

 これで考えると、1は「家族でキャンプをしている」、3は「部屋のどこかから水が流れる」、4は「先週からのどがちくちくする」で、いずれも名詞でも名詞相当句でもありません。そして2は「東京」で名詞ですから、これが正解です。

 なお、「AというB」が「AというA」になると、強調になります。「動物という動物が一斉に山から逃げ出した。」「今日という今日は許さないわよ。」などですね。おそらく同語反復(トートロジー)の派生ですが、面白いですね。


020)平成30年度 試験I  問題2(2)食べろう

【こたえ】
 1

【解説】
 元の文に副詞「一緒に」がついていることから、これは2グループ動詞(国文法では上一段、下一段動詞)の意向形(誘い、自己意思の表明などに使う)に関する誤用と考えられます。

「食べろう」に近いのは、この種の動詞の命令形「食べろ」です。誤用はこれに「う」をつけて生じたと推察できますが、「食べよう」は口頭できわめて多く聞く活用ですから、独学で日本語を習得した学習者であれば、ちょっとリアリティに欠けるようです。

 ところが、原文と同じように"2グループ+命令形+う"の形は選択肢の1-4すべてがそうです。「仲間はずれ問題」の解き方は
・まず形式で見て、わからないときは意味で見る
 のが基本です。

 これに従うと、4だけは命令形「できよう」が命令ではなく、「城はあと数ヶ月でできよう。」のように推測の意味を表すので、こちらが正解となります。つまり、
・無意志動詞の命令形は推測を示す
 ことがわかっていれば、この問題は解けます。類似のものとしては「晴れる」などもそうで、「明日には晴れよう。」が命令ではなく、推測であることはすぐお分かりだと思います。

 4もそう見えますが、動詞「できる」は人の意思が介在しない動詞なので、命令形がありません。

【参考】
日本語教育のスタートライン』p. 98

2020/01/14

019)平成30年度 試験I  問題2(1)気候 → 拮抗

【こたえ】
 1

【解説】
 気候(キコウ=3拍の語)を拮抗(キッコウ=4拍の語)のように発音してしまったので、拍の数が多くなってしまった誤用ということになります。
 選択肢それぞれの拍数を数えてみればできるので、易しい問題ですね。

1. 暇(ヒマ=2拍)→ 居間(イマ=2拍)
・拍数は同じなので、これが上と合わないので「仲間はずれ」、つまり正解です。

2. 西(ニシ=2拍)→ 日誌(ニッシ=3拍)

3. 渡航(トコウ=3拍) → 登校(トウコウ=4拍)

4. 今日(キョウ=2拍)→ 器用(キヨウ=3拍)

 拍を数える場合はもちろん、
・特殊拍(長音・小さい「っ」・ん)は前に来る音と合わせて2拍とすること
 そして
・小さい「ゃ・ゅ・ょ」はその前の音と合わせて1拍であること
 も復習しておきましょう。

【参考】
日本語教育のスタートライン』pp. 175-177
 もっと基本から勉強したい場合は
日本語教育のミカタ』pp. 42-43 の穴埋めをしましょう。
018)平成30年度 試験I  問題1(15)結果の評価

【こたえ】
 3

【解説】
 これは10と同じで、言語学・言語教育学の知識がなくても解ける、「日本語クイズ系」とでも言うべき問題です。
 
 解き方はもちろん、テンテンの後、つまり後件の節の内容を想像すればいいわけです。以下、わたしの想像および解説です。

1. 経理のことがわからずに今に至っている。
⇒そのことを残念に、あるいは悔しく思う。「おかげ」が皮肉として使われているのに気をつけてください。 例:おまえのミスのおかげで今日の試合はさんざんだったぜ。

2. 大切な20万円を失ってしまった。
⇒そのことを残念に、あるいは悔しく思う。「ばかりに」の後件は失敗など悪いことが続きますね。

3. 第一志望の高校に合格した。
⇒そのことを望ましく、また嬉しく思う。これが「仲間はずれ」、つまり正解です。

4. 大切な40万円を失ってしまった。
⇒そのことを残念に、あるいは悔しく思う。さっきより損失額が倍増していますが、これは例なので気にしないでください。

5. 大切な60万円を失ってしまった。
⇒そのことを残念に、あるいは悔しく思う。さらに損失は増えていますが、もし2, 4, 5の発話が同じ人によってなされたとしたら、どんだけ騙されやすいんだ、となりますね。

 これで30年度の「仲間はずれ」は終わりです。次回からは「誤用の仲間はずれ」に行きます。がんばりましょう☆

017)平成30年度 試験I  問題1(14)応答詞の用法

【こたえ】
 4

【解説】
 応答詞というのは、品詞で言うと「間投詞」の下位グループのことばで
・相手が言ったことに反応したり答えたりすることば
 のことです。「はい、うん」といった肯定的応答詞と「いいえ、いや」のような否定的応答詞があることはわかりますね。ただ、応答詞なしでは肯定・否定ができないかというとそんなことはなく、ジェスチャーなどの非言語コミュニケーションでも肯否はわかりますし、沈黙がしばしば否定であることはご経験のとおりです。なかには
ーお弁当におはし付けますか?
ーあ、大丈夫です。
 のように応答詞に代わることばもありますね。

 さて問題ですが、応答詞「はい」の機能は4つあり、ここではそのうちの2つが出ています。まずは
①「あなたの依頼や命令がわかりました。だから従います」
 これは相手が「お願いします/~ください/~しないでください」またはそれに類する表現の後で言う「はい」です。
 後続する語を補うのであれば「はい、わかりました」になりますね。英語で考えるならば依頼や命令に対するYes, sir/ma'am.のイエスに相当します。
 実際、選択肢の1と5は「お願いします」2と3は「ください」なので、これらは同じ意味です。ですから正答は4ということになります。

 4の「はい」は以下の意味です。
②「あなたの言っていることは正しいです」
 単純に「はい、そうです」の「はい」です。Yes, it is. に代表されるものですね。

 では残りの2つも抑えておきましょう。先に向けての勉強です。
③「あなたの言うことを聞いています」
 例は以下のような感じです。
ーで、花薗さんと沖縄に行ったんだけどぉ、
ーはい。
 つまり、あいづちの「はい」ですね。これは英語の yes にはない用法なので、しばしば英語圏の人は混乱するようです。

 そして最後
④「はい、どうぞ」「はい、聞いてね」
 これは相手の注意を促すときの「はい」です。以下の例を見てください。
ーあれ? 定期いれ持ったかな?
ーはい。(と、手渡す)
 英語なら Here you are. Here it is. に相当します。

【参考】
日本語教育のスタートライン』pp. 97-98

2020/01/13

016)平成30年度 試験I  問題1(13)比喩

【こたえ】
 2

【解説】
 わたしの専門のところなので気合入れていきましょう。
 まず検定で比喩(たとえ)の出題がある場合「~のような」「~みたいな」という
「これタトエですよ」というしるしがあるものは出ません。
・例えている語が何を示しているかの性質の別で仲間はずれを探す
 という形式で出題があります。その性質は以下の3つです。

 ひとつめ。似ているものに見立てて例える。これをメタファーと言います。でも名称そのものは出ないんじゃないかな? これからの3つを区別できれば十分です。
 今回の出題で行くと1がそれに当たります。
 「追い風」を言い換えると、企業が発展する上で後押しとなるような現象のことですね。ここではつまり、降って沸いたような、自分たちにはオイシイ現象を、背中を押してくれる風に見立てているわけです。いわば、さしたる努力をしなくても自分を前に進めてくれる、という特性が両者に共通している、つまり特性が似ているわけです。
 これは特性が似ているわけですが、もっと分かりやすいのは、見た目が似ているものです。目玉焼きは本当に人の目を取って焼いちゃうわけじゃなく(こわいよー)、あの料理のカタチが人の目玉に似ている、つまり形態が似ているわけです。パンの"耳"もそうですよね? でもこれはかなりストレートな比喩なので、検定で出るメタファーは、特性とか働きが似ているものになると思います。

 ではふたつめ。何かに隣り合わせて例える。これをメトニミーと言います。メタファーとちょっと似ていますが、これも用語を覚える必要はありません。両者の違いがわかれば、この分野の検定勉強は8割終わったようなものです。
 この「隣り合わせ」は空間的な隣、時間的な隣に分かれます。
 空間的な隣の代表として「入れ物⇔中身」の隣り合わせがあります。たとえば出題の4は
黒板を本当に消しちゃうわけではありません。それじゃマジックです(見たいけど)。そうではなく、黒板という「字の入れ物」で、中身の字をあらわしている訳です。お風呂が沸いたと言う場合は、浴槽というお湯の入れ物で、中身のお湯を示していることになります。そして5の永田町も、町と言う入れ物で、中の人をあらわします。永田町は国会があるので、中の人とはこの場合、代議士とその関係者ということになります。

 もう一つの隣り合わせの代表は「全体⇔部分」をあらわすもので、出題の3がそれです。
洗濯機を回す、を文字通りに捉えると、4隅のどこかを支点にデカい機械をクルクル回すことになります。それじゃ宴会芸です(見たいけど)。そうではなくて、ここでは中のモーターを回すことになります。扇風機が廻っている、というときも同じですね。
 あとは2と5です。2は「生み出す人や場所→産物」を示すものです。産物と言っても野菜などではなく、人が作りだすものすべてで、ここでいう漱石とは漱石の著作です。ベートーベンは聞かない、というときのベートーベンも同じです。
 
 では時間的な隣ですが、検定的には出る確率、低そうです。一応例を挙げると、たとえば、あの選手は今期を最後にユニフォームを脱ぐ、などという場合です。ユニフォームは試合が終わればいつも脱いでいると思いますが、この場合はその脱いだあと、時間的に隣り合った日々、つまり引退後の日々を示します。

 さてみっつめ。これは大きな類と具体的な種の間で例えるものです。専門用語はシネクドキ。ずいぶん難しそうですが、以下をしっかり読めば大丈夫です。
 大きな類と言うのは、図鑑シリーズの表題だと思ってください。「のりもの図鑑」「魚類の図鑑」のようなものです。
 そして具体的な種とは、その表題の中にあるさまざまなものだと思ってください。乗り物ならバスや電車、魚ならマグロやサメをさします。
 この二つの間で「本来、類で言うことを種の名前で言う」「本来、種でいうことを類の名前で言う」のがこの例えです。例を挙げると「サランラップ」は家庭用化学ラップ製品の一種なのですが、ラップ類全体を指すほど有名なので、100均の店で安い「○○ラップ」を買っても「サランラップを買った」と言えます。これが「類→種」の例です。また、「明日のご飯はパスタだ」と言う場合は「ご飯」はもともとの意味は炊いたお米なのですが、食事一般の大きな「類」を示すことばに転じてますね。これが「種→類」です。

 では検定的にまとめておきましょう。
 まずメタファー(類似に基づく)は基本なので、これとメトニミー(隣接に基づく)との差異を問う、今回のような問題が「仲間はずれ」では基本になります。次はメタファーと「類⇔種」のシネクドキとの差異が可能性があります。メタファーなしの出題はまずないと考えて良いでしょう。

【参考】
日本語教育のスタートライン』pp. 332-337
015)平成30年度 試験I  問題1(12)「~直す」の用法

【こたえ】
 2

【解説】
 選択肢にある「ナニナニ直す」、のナニナニは勉強するとか見るとかなので、この問題は動詞を二つ重ねたもの、つまり複合動詞の問題です。先に来る動詞(前件)と後に続く動詞(後件)との関係はさまざまですので、出題するほうとしては出しやすいジャンルです。

 キーは1の選択肢に出ている「もう一度」です。この文の選択肢は「勉強し直す」ですから、前に中学の教科書で勉強した→もう一度同じことをした、ということが伺えますね。つまり「~直す」は「再度、意思を持ってする」ということです。
 同じ仲間は、3・4・5です。見極めるコツは迷ったら、各複合動詞の前に
・あーあ、やんなきゃなー、と
 という心の声を付け足してしっくりくるか、こないか、です。

 そうすると2の「息子を見直す」は何だか「もう一度、評価を改める」みたいで上の4つを区別がつきにくいのですが、上に述べたコツを入れて考えると
・じゃあ、あーあ、やんなきゃなー、と息子を見直した
 というのは変ですね。これは「~に対して評価をする」と言う意味の「見る」に意思を持つ、と言う気持ちがないからです。

【参考】
日本語教育のスタートライン』pp. 97-98
014)平成30年度 試験I  問題1(11)「こと」の用法

【こたえ】
 5

【解説】
 用法の間違い探しというのは、要するに意味が違うものを探せばいいので、虚心に頭の中で朗読(というのも変な言い方ですが)すれば解けます。

 1から4はみな「そうしたほうがいいよ」という忠告の意味を表します。そして5の「残念なことだ」の「こと」は"所業・行為・できごと"などの意味ですから、これが「仲間はずれ」で正解です。
 
 でも頭で考えてそうだなー、というのは心もとないので、形式から抑えていきましょう。そもそも「こと」は「物事」という語が示すように、何かが存在したり、あるいは動いたりすることを捉えたことばです。万物は流転するので、「こと」ということばでその流転のある部分を把握しやすく留めた、とでも考えればいいでしょう。英語だと不定詞の名詞的用法の to とか、動名詞の -ing に当たります。下の比較で考えてください。

(1)Swimming is fun.
(2)泳ぐことは楽しい。

 つまり、動詞の辞書形(国文法の終止形)やナイ形に「こと」がつくと、「~という行ない」「~しないという所業」という意味になります。

 ところが、ここからちょっと面倒なんですが、この用法が文末に「だ」「です」などのコピュラ(ここではコピュラが何かは書かないので下の本を読んでね)と一緒になると、急に"経験を経た爺さんが物がわかったように若者にしゃべる感じ"(←偏見)になります。これが1から4の用法で、3などは特にその感じが出ていますね。
 話し手の心の中の態度を示す文法カテゴリー(このことばの意味も下の本でお願いします)を「ムード」と言います。「忠告しつつ実はちょっと威張るムード」とでも言いましょうか。
 なおこの威張り爺さん(←誰だよ)は、さっき書いた「物事」のもうひとつ、つまり「もの」でも登場します。たとえば
(3)そういう時は静かにするものだ。
 のように、「当然」のムードが出てきます。

 なぜ爺さんはこうも威張るのでしょうか? 「こと・もの」はただの名詞化をうながすことば(これを「形式名詞」と言います)だし、コピュラは主語と述語をつなぐ紐みたいなもので、どっちにも威張る要素はありません。
 これは要素分解できることではなく「ことだ・ものだ」という形式そのものが意味を持つ、という考え方をします。
 こういう捉え方をする文法を構文文法と言います。これは先の勉強へのご参考ということで。

【参考】
日本語教育のスタートライン』pp. 151-152
 コピュラの意味は 同 p.80
   文法カテゴリーについては同 p.143

065)平成30年度 試験I  問題8 問5 ソーシャルサポート 【こたえ】 4 【解説】  ソーシャルサポート (social support, 社会的支援)とは心理学のことばで、 いろいろ困った人に周りの人が支援すること です。それさえわかれば、正解に近づくこ...