2020/02/05

064)平成30年度 試験I  問題8 問4 文化変容における分離

【こたえ】
1

【解説】
 ベリー君の文化変容に関する知識問題ですね。問題には「タイプ」と書いてありますが、原典である Berry (1997) の "Immigration, Acculturation, & Adaptation" では、この分離とか同化とかを four acculturation strategies (文化変容に対する4種のストラテジー)としています。実際の異文化に対峙した人が心の中でする工夫なので、やはりストラテジーが適切だと思います。

 分離 (separation) というのは、自文化を肯定しつつも相手と同調しないことなので、正解は1となります。
 残りも見ていきましょう。
 2は異文化を受け入れて、自文化はなくなってもいいや、という、1の真逆で、これは「同化 (assimilation)」ですね。
 3は4つの工夫に至る前に思い悩む段階であり、ベリーの4つとはどれも違うものと考えられます。4はどちらも受け入れているので 「統合 (integration)」です。ベリーの4タイプで残ったものは「周辺化 (marginalization)」ですが、これはどちらの文化にも積極的に関われなくなることで、3にあるような「葛藤」よりも内向きに沈潜した状態です。いちおうBerry (ibid.) から原文を引いておきましょう。

 Finally, when there is little possibility or interest in cultural maintenance (often for reasons of enforced cultural loss), and little interest in having relations with others (often for reasons of exclusion or discrimination), then Marginalization is defined.
 最後に(しばしば文化的喪失を押し付けられたがゆえに)自文化を維持する可能性も興味もほとんどなく、かつ(しばしば排除されたり差別を受けたりしたがゆえに)他の文化と関わろうという興味もほとんどないとき、それは「周辺化」と定義される。


【解説】
日本語教育のスタートライン』pp. 379-381

065)平成30年度 試験I  問題8 問5 ソーシャルサポート 【こたえ】 4 【解説】  ソーシャルサポート (social support, 社会的支援)とは心理学のことばで、 いろいろ困った人に周りの人が支援すること です。それさえわかれば、正解に近づくこ...